働いていた食品メーカーでは、現実的に不可能だろうと思われる内容でも、高い目標が大事とのことで、110%以上の数字の計画を立案しないといけなかった。そして、立てた計画とどれだけ離れているかを追いかけ行く日々…。何でこんなことになっていたのか考えて書いていきます。
社長、副社長に意見できない幹部たち
働いていた食品メーカーでは、半年ごとに営業目標計画を立てていました。
営業目標計画を立てる際に、最初は各営業ごとに担当企業で、どんな販売をするか現実的に計画をして、全体の数字を出す。そして、それを合わせた数字でもう少し頑張れる先はないか、新規取引を作れないか考えて、修正して完成させる。
現実的で、理にかなった計画だと思いました。出来上がった計画で「半年頑張るぞ!」と意気込んでやる気も出ていました。
でも、営業部で立てた計画は、社長・副社長の「何で伸び率がこんなに低いんだ」の一言でやり直しになります。
常に二桁の売上伸びの目標でないと納得しない社長・副社長。幹部も多少説得はするものの、すぐに諦めてつじつま合わせになります。
意味のない再計画案
社長・副社長から110%以上の売上伸びの目標にするように言われたから、計画の数字をそれに合わせて変更する…実現が難しい計画に無理やり変更しなくてはなりません。
せっかくプランを立てて計画したのに、無駄になってしまいます。実現不可能な量の商品を売る計画に変更です。
社長・副社長の110%の伸び率という数字には根拠はありません。市場全体が伸びていないのに、既存商品で数字を伸ばすといった無茶苦茶な言い分を言ってきます。
でも、直さなければ一生計画修正の業務に追われ、通常業務が終わりません。なので、無理やりつじつまを合わせた意味のない再計画案が完成するのです。
結局は昨年比での報告
無理やり修正した営業目標計画ですが、日々の会議の報告では、サラッと使われるぐらいで、「昨年と比べて今年はどうなのか」しか重要視されません。
通常業務をしながら、残業をして1〜2週間かけてつくった計画はなんだったんでしょうか。
ただ、形式を保つためだけに残業代も出ない中、作らされる計画…「それなら一律110%を目指そう」だけでいいのではないのか。
いったいどれだけの人数の営業マンがどれだけの時間を使っているのか考えてほしいものです。
営業職なので、見なし残業代がついていて、何時間残業しても全く残業しなくてもお給料は変わりません。そこに付け込んで何でもかんでもさせて、社員のこと大事にする会社ではないなと思いました。
昨年比目標の怖さ
計画が無理難題の目標なのは、毎年ちょっとづつでも数字を伸ばしてきた部署です。昨年にガクっと数字を落とした部署は簡単に数字を上げることができます。
たとえば、去年に
①1,000万円⇨1,100万円に伸ばしたとします。(110%達成です。)
反対に、去年に
②1,000万円⇨950万円(昨年比95%)に売上が下がったとします。
すると、今年の目標は
①1,210万円 ②1,045万円 となって、同じ110%目標でも165万円もの差が生まれるのです。
人口が増えている地域や、売上絶好調のお客さんがいるならいいですが、人口は減少でお客さんの売上もよくない地域で①の場合は本当に大変になります。
社長・副社長は基本的に去年からどうなったかしか評価しないので、①よりも、②のほうが評価が高くなりやすいです。
僕がいた部署は、元々の売上が高く、①に近い状態だったので、頑張って昨年を維持するだけでも大変でした。でも、評価は全然上がらず、見かけの数字をあげた②の部署のほうが評価が高かったです。
システムをわかってからは、一回落としたほうがいいじゃないかと思うようになり、その考えを嫌がる上司と喧嘩になることがたまにありました。
うまくやっている人もいる
昨年比での評価システムを完全に理解している営業の先輩と話ていると、98%〜102%ぐらいを毎年繰り返していれば、それ以上しんどくならないし評価もそこそこだから、これぐらいがいいよ。という話をしてくれました。
でも自分の上司は、すごく真面目で、売上を下げることは悪と考えるタイプだったので、最終的には考えが合わず辞めようという理由のひとつになりました。
うまくやっている人の部下になれれば、もっと幸せな道もあったのかもしれませんね。