試食販売でたくさん商品を売るのは、簡単なことではありません。商品を買ってもらえないどころか、全然試食を食べてすらもらえないし、店内は寒いしで、辛いことだらけです。
僕の部署では、年末年始が近づいてくると、年末商品の早期展開のために、スーパーで連日のように試食販売に入らなくてはいけませんでした。
営業の仕事をしながら、試食販売で1日の予定が潰れてしまうのは、かなり苦しい毎日でしたが、連日の試食販売で売るために必要なたくさんのコツを学んだので紹介します。
試食販売での評価の基準
試食販売の前知識として読んでもらえると、モチベーションアップに使えるかもしれません。
試食販売は、ただお客さんに試食を配ればいい場合もありますが、評価されるには基準があります。
試食販売で評価の基準にされる値は、「商品が売れた数×1,000÷入店客数」で表されるPI値というものが使われることが多くて、この値が高いほど評価は高くなります。
例えば、お客さんがお店に1,000人来ていて、商品が100個売れればPI値100です。
PI値の目安について
PI値はお店の中でも商品がどれぐらい売れるのかの基準になっていて、PI値30程度あれば上出来とされています。
よっぽどの特売とかでない限り、普通に商品を置いているだけでは出すことができない値なので、PI値30を達成できたり、それ以上の値を出せる試食販売のスタッフさんは時給もかなり高くなります。
よく見かけるおばちゃんが、すごく商品を売る人だったので聞いてみたら時給もメキメキ上がっているとのことでした。
試食販売で上手くたくさん売るコツと必要なこと
試食販売でたくさんの数を売るには、試食販売の事前準備と試食販売中の両方で対策が必要です。
どちらかが欠けても試食販売でたくさんの数を売ることはできません。事前準備と試食販売実施中における対策を紹介します。
試食販売で上手く売るための事前準備
試食販売を実施する当日までにやっておかなくてはならないことを紹介します。事前準備がしっかりできていないと、お客さんと話をすることが難しくなります。
販売する商品の内容をしっかりと理解すること
まず、試食販売で自分がどんな商品を売るのか、きちんと商品の内容を暗記することが一番大切なことになります。
当日はどんな商品を販売するのか事前に確認して、試食販売をする商品については、お店で誰に聞かれても一番詳しい状態がベストです。
調べておくと良いポイント
- 標準小売価格(またはお店での定価)
- 内容量(大体の本数とか)
- 食べ方(基本的な使い方)
- 商品のアピールポイント(カロリーが低いなど)
- 普段お店で置いている場所(特売じゃない時にはどこにおいてあるのか)
上記のことは調べておいて損はないです。
また、他のメーカーが出している似たようなライバル商品のチェックも大事になってきます。
例えば、ウインナーの試食だと、シャウエッセンとアルトバイエルンの違いを言えるといいでしょう。
違いを分かった上で、自分が販売する商品のメリットを言えるようにしておくとベストです。
試食の方法を確認しておくこと
当日に販売する商品が何かわかったら、次はどうやって試食を提供するのかを確認しておかなくてはいけません。
試食の提供方法があやふやなままだと、当日に効率よく試食を配ることができないです。
また、どうすればおいしい状態で試食を配れるかも考えておくといいです。
例えば、鍋の素を紹介するなら最後のシメを想像させるためにご飯を用意したり卵閉じにしたりも考えられます。
スープに野菜だけを入れて、そのまま提供するよりもおいしく提供できるで、販売数も伸びるしょう。
自分なりの工夫を入れておくと、お客さんと自然に会話ができて買ってもらえる確率もアップします。
販促物の確認をする
試食販売の際に、商品のポップや食べ方メニューなどを用意してくれる場合もあります。
でも、万が一なにも用意されていなければ、自分でも何か商品をお客さんにアピールする物を用意しておくといいでしょう。
手書きでアレンジメニューの作り方を書いたポップを用意したり、実際に作ったアレンジメニューをディスプレイとして飾るのもお客さんの目をひくのでおすすめです。
たとえば、お菓子のリッツの販売だったら、リッツパーティーに見せるようにお皿にチーズやトマトなどを乗せて飾ったプレートをラップしてディスプレイ用にしておくなどです。
売り場の交渉
売り場の交渉は、できる場合とそうでない場合があるので一概にできるとは言い切れません。
でも、もし売り場の交渉ができるなら、お客さんがよく通る方の通路で試食販売させてもらえると販売数も伸びます。
内周よりも外周のほうがお客さんは通りやすいので、できるなら外周側で販売できるように交渉してみましょう。
赤の方で試食ができると販売数が伸びやすいです。赤の方が通るお客さんの数が多いですし、その分自分の前を通るお客さんも増えます。
反対に青の方だと、通る人が赤より少ないのに、せっかく自分の前を通りそうでも、お菓子コーナーや調味料コーナーに行ってしまうことも多いので、試食を配るのが少し難しくなります。
上手く売るために試食販売中に心がけること
試食販売は基本的には1人だけで実施するので、自分との戦いです。僕も、なかなか試食を受け取ってもらえずに、心が折れそうになることが多くて辛かったです。
でも、諦めて試食を配らなかったり、試食販売実施のアナウンスをしなかったら、試食を配るのはもっと難しくなるので、諦めずに頑張る勇気を出すことが必要です。
試食販売で商品をたくさん売るために必要なことを紹介していきます。
何を試食販売しているのか声を出してアナウンスする
試食販売の人が立っていても、何の試食を出しているのかわからないことがあります。
恥ずかしがってモゴモゴと話してしまったり、声が小さかったりだとお客さんは不審に思ってあまり近づいてきてはくれません。
緊張はしますが、思い切って大きな声で「○○の試食販売を実施しています!」「○○がおいしさのポイントです!」など、試食している商品とそのアピールポイントを買い物しているお客さんに聞こえるようにアナウンスすることが大切です。
お客さんに笑顔であいさつ
試食販売実施中に、お客さんと目があったら「お客様こんにちは!」と笑顔であいさつをするのがおすすめです。目を見て挨拶をすると「私に言われている」と気づいてもらえます。
気づいてもらえば、「今試食をしているので食べてみてください!」と話しかけたときに受け取ってくれる確率が高いです。
買ってくれたお客さんや試食だけのお客さんにも「ありがとう」の気持ちでお礼をいうことも大事です。
まだ試食を配っていないお客さんが見ているので、そんな誠心誠意頑張る姿を見て、試食をしてくれたり、商品を買ったりしに来てくれる人もたくさんいますよ。
できれば同時にたくさんの人に配る
試食販売をしているとお客さんは「買わされるのではないか」と警戒しています。なので買わされるという警戒心を解くことが必要です。
お客さんの警戒心を解くためは、別のお客さんに仲間になってもらうことです。
別のお客さんが隣で「おいしいから買おうかな」と何個もカゴに入れていたら自分も買いたくなりませんか?
自然と買いたくなる状況を作り出せればたくさんの数を売ることができます。
また、自分が売っている商品の周りに常に別のお客さんがいる状態になっていれば、自然とお客さんが集まってきます。
「そんなに人がいるならいいものが売っているのかな」「たくさん人がいるから無理に買わなくても済むし見てみよう」となるのです。
今日ならではの、おすすめポイントを伝える
試食販売をしている側からすれば、1個でもいいから今日、今お客さんに商品を買ってほしいです。
とりあえずは、自分がいる間に何個売れるかが大事なので、最後の一押しをすることが必要になります。
商品をその場で買ってもらうために必要になるのが、今日ならではのおすすめポイントをお客さんに伝えることです。
いつもは「○○円で1個だけど、今日は同じ値段で2個ついている」「今日ならおまけの○○がついている」「今日だけ2個かえば○○円引き」など、今買いたくなるセールスポイントでお客さんが購入したくなればバッチリです。
「いつもより少しでもお得ならいいか!」と思ってもらえれば気持ちよく購入してもらえます。
試食販売では頑張る勇気と感謝の気持ちを持つことが大切
試食販売はたとえコツをつかんでも本当に大変な仕事です。
一日中寒い売り場で立ちっぱなしで、試食を作ってはお客さんに配って、受け取ってくれなかったり無視されることもあって心が折れそうにもなります。
でも、中には「頑張っているお兄さんを見たら買いたくなったよ」「お兄さんがおすすめしてくれるなら買うよ」と言ってくれる人もたくさんいました。
1人で10個以上買ってくれる人もいたりして、何個であっても、買ってくれた人には感謝の気持ちでいっぱいになります。
何より、たくさん売れると最後には達成感もあります。
一生懸命頑張っていれば、その頑張りをお店の人やお客さんが見てくれて、後で嬉しい言葉を貰えたりもします。
何百回と試食販売をしたので、僕が学んだ試食販売のコツを、これから試食販売をする人の何かの役に立てれば光栄です。
まとめ
- 試食販売でたくさん売るには事前準備が大事
- 試食販売当日は勇気を持ってハキハキ話すこと
- 感謝の気持ちを持って接客すればお客さんの心に響いて買ってもらえる
- いっぱい売れると達成感はとてもある