1年目の年末のことなのですが、勤めていた食品メーカーでは、年末商品も取り扱っていました。年末商品は、売上のボリュームも大きいので残業が多くなっても踏ん張らないといけなかったです。
また、年末商品を売るためにスーパーでマネキン販売(試食販売)をして、売り切った分を更に受注して売上を作るのが営業所の方針でした。
なので、売上を作るために、土曜日も出勤して、スーパーで実際に試食を出して、お客さんに購入してもらう日々が始まりました。
右も左もわからない1年目でしたが、年末商品をマネキン販売して売り切らないといけない辛さを覚えているので、マネキン販売について少し書いていこうと思います。
マネキン販売って?
スーパーで試食を出している人を見かけたことありませんか?お肉や魚、野菜やフルーツなんかは、実際にスーパーで働いている人が試食を出している場合が多いです。でも、冷凍食品やお菓子などの加工食品の試食は、製造メーカーに雇われた派遣やバイトの人だったり、社員の人だったりすることがほとんどです。
マネキン販売は、試食を出してお客さんに商品をアピールすることが本来の根本的な目的なのですが、実際にはその日に何個売れたかが、かなり重要視されていました。
スーパーの担当の人も、マネキン販売をすればどのくらいの売上になるなと予想して依頼をしているようです。なので、なかなか売れなくて販売数量が少ない場合は、商品が売れないとレッテルを貼られることや、もう呼んでもらえないこともあります。
僕の上司はマネキン販売が天才的に上手い…
マネキン販売の方法を、上司から直々に教わりました。普通のマネキン販売では考えられない数量を一日で販売するのが僕の上司でした。
1個100円の商品を1日に1,000個は軽く売ることも多々ある凄腕です。派遣さんやバイト、スーパーの担当の人よりも超越した販売数量をいつも叩き出しています。なので、スーパーの社長から試食販売の新人研修の先生をしてほしいという依頼もあるぐらいでした。
上司が天才的な試食販売をする人なのですが、同じメーカーの社員ということで期待値がすごく、上司の半分は売らないといけません。目標値が高すぎて半分を売るだけでも必死です。
必死になって1日中声出しをして販売しても、やっと上司の半数を売れるかどうかです。ただ、上司の半数でもすごい販売数量になります。
もし、担当の人が上司の販売数を知らなければ、僕ももっと評価されたかもしれません。でも、上司の実績を見ているので、半数でも最低ラインと捉えられます。
休憩も減らして、一生懸命お客さんに買ってもらっても評価が高くない。その上、次もまた次も上司の半分以上の販売数量を目標にされるので、普通のマネキン販売からすると高すぎる目標に疲労の日々でした。
食品メーカーの営業って何だろう…
実際にスーパーのお客さんに直接、製造メーカーとして自社の商品を売ることは貴重な経験になります。でも、売上を上げるための方法として、自らスーパーの店頭に立つことが食品メーカーの営業がすることなのかは疑問に思ってきました。
しかも、すごい数量を1回のマネキン販売で売るので、実績が残ります。他の誰にもお願いできない実績なので、また自分でやらないといけません。
抜け出せないスパイラルに入っているのではないかと思います。上司も、昔作った自分のマネキン販売の実績から抜け出せずに、役職についてもマネキン販売に日程を割くことも多かったです。
上司のことを尊敬はしていましたが、売上の作り方には疑問を持っていました。無理やり作った実績で来年もまた、その次も一生苦しむことになるなら、他の人を使ってもできる方法を考えるべきだと感じていました。
疑問を持ちながらも、他に売上の作り方を提案できるわけでもないので、指示に従った
疑問を持ちながらの仕事は非常に辛かったです。何か違うなと思いながらも、目の前の目標数量を売り切らないと、何で売れなかったのか怒られてしまいます。
高い販売数量の目標にプレッシャーを感じながら、1人でスーパーの店頭に立ち続けた日々は、精神修行のようだと思いました。
マネキン販売が多くなると日々の業務の時間が無くなるため、休みは日曜日と祝日だけになって、休みの日も無気力状態でした。来年は少しでも、改善されていることを願ってとにかく年末年始の休みまで走りきりました。